超弦論 2012 2 12

書名 超ひも理論がよくわかる本
著者 伊藤 英男  秀和システム

 超弦論(超ひも理論)というと、
懐かしい感じがします。
 あれは、私が、高校2年生だった頃だと思います。
学校の帰りに立ち寄った本屋に超弦論の本があったのです。
 「これで、すべてが説明できるのか」と、
興奮して、ページを開きましたが、
やがて、大学受験の勉強が始まり、
すっかり、記憶の外になってしまいました。
 それでも、超弦論(超ひも理論)と聞くと、
青春の日々が思い出され、懐かしく感じるのです。
 さて、なぜ、超ひも理論というものが出てきたのか。
それは、物理学者の本能、いや自然な欲求からだと思います。
「自然界の法則は、すべてシンプルなはずである」
 しかし、現状では、物理学は、
複雑とシンプルの間を行き来していたのです。
 たとえば、分子の先に、原子があり、
その原子は、陽子と中性子、電子で構成されています。
 金(Gold)も鉛も、
陽子と中性子と電子の数が違うだけで、材料は同じ。
「実に、シンプルだ」と思いませんか。
 ところが、これで終わらなかったのです。
陽子や中性子を構成する素粒子が発見されて・・・・・。
これが、ずいぶん数が多いのです。
 素粒子表を作って整理しないと、
混乱するほど数が多かったのです。
結局、「複雑」に戻ってしまったのです。
 しかし、自然界の法則は、
すべてシンプルなはずであるという強い欲求があります。
 そこで、誕生してきたのが、
超弦論(超ひも理論)という考え方です。
 素粒子表まで作って整理しなければならないほど、
数が多いと書いた素粒子ですが、
その素粒子を作っているのは、
実は、「ひも(弦)」ではないかという着想です。
 つまり、素粒子の違いは、
単に弦の振動の違いに過ぎないのではないかということです。
 言い換えれば、弦が振動していて、
その振動の状態が素粒子の種類を決めているのではないかということです。
 この本では、「もともとは、単なる一本のひもが、
ある振動状態をとっている時は電子、
また別の振動状態の時はミューオン、
さらに別の振動状態の時はアップクォーク・・・・・というように、
すべての粒子をたった一本のひもの別の状態であると考えることができる」と書いてあります。
 少し、わかりにくくなったかもしれません。
しかし、この着想は、バイオリンやギターにあると思います。
たった一本の弦でも、実に多くの音色を作ることができます。
 こうした超弦論(超ひも理論)によって、
複雑になってしまった素粒子をシンプルなものにすることができるでしょう。
 次に、次元構造についても考えてみましょう。
私は、2011年5月3日に、
「私たちが住んでいる次元は、カーテンのようなものだ」と書きました。
 つまり、私たちは、3次元プラス1次元で4次元の世界に住んでいるのです。
縦・横・高さの3次元と、時間の1次元です。
時間は、直線の1次元の存在です。
 たとえ話をすれば、私たちが住んでいる次元空間は、
カーテンのようなものです。
 つまり、カーテンレールが、時間という次元で、
そのカーテンレールにぶら下がっているカーテンが、
空間という次元ですと書いたのです。
 超弦論(超ひも理論)では、10次元という時空間を考えます。
10次元マイナス4次元は、6次元です。
この6次元は、どこに隠れているのか。
これが余剰次元としても考えられています。
 次元というと、抽象的な概念でわかりにくいかもしれません。
こう考えてみると、よいでしょう。
 一次元とは、線分です。
もちろん、直線をイメージしてもよいのですが、
「ひも」のようなものも、一次元の存在と言えるでしょう。
 二次元は平面、三次元は立体、
そして、私たちが住む次元は、
「三次元プラス一次元」という特殊な世界となっています。
 つまり、縦・横・高さの三次元に、
時間という一次元の存在が組み込まれた世界になっています。
 さて、こう考えると、おもしろいかもしれません。
線分に囲まれてしまって、
「逃げられない」と思っている二次元の人たちを見て、
三次元の人たちは、「上へ逃げればよい」と笑うでしょうが、
同じことが三次元の人に対しても言えるでしょう。
 四次元の人たちから見れば、三次元の人たちは、
「なんと、閉じ込められた世界で不自由に生きている」と見えるでしょう。
































































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